アリの捕まえ方、アリの育て方

 
 さながアリを飼いたいというので観察セットを買ってあげた。さなって虫を結構怖がるんだけど、先日自転車置き場のところで半死の虫を運んでいるアリを見つけて以来「怖い虫類を処分してくれる頼もしい方々」というイメージが植え付けられたみたいで、アリには好意を抱いている。
 観察セットは、筒状の容器が珍しく、倒れにくそうだし寒天の黄色も気に入ったのでこれにしました。「アンツキャピタル ハッピーイエロー」といいます。先週、寒天も混ぜて温めてつくったので、今日はさなとアリを捕まえてきた。
 捕まえたのは、私達が住んでいるマンションの周りの、マンションと道路の境目が石垣の段になっているところ。アリが石段を降りようとするところで、折った紙の端を少しホウキみたいにしたやつでサッと掃いて、大きいペットボトルの、上3分の1くらいを切って逆さまにはめ直したアリ地獄のような形のもの、名付けて「アリ返し」に落として溜めた。アリ、ペットボトル自体は登れるけど、アリ返しからは出て来られなかった。
 これを、帰宅して冷蔵庫に入れ、アリを冬眠させます。アリが動かなくなったら、まとめてアリ観察容器に移します。この際、砂や土が入らないように注意。カビが増えやすくなるそうです。
 ……と思いきや、まとめてざさーっと容器に移し替えるふうにはいかなかった。アリは冬眠してても脚がペットボトルにくっついていて、逆さまにしても振っても出てこない! しかも、あんまり刺激を与えると自分の出す蟻酸で弱るらしい。なので、観察容器も冷やしておいて、濡らした筆にアリを1匹づつ乗せて、コンっと観察容器に落としてすかさず蓋を閉める。また数分待って、今入れたアリがおとなしくなったら、もう1匹……という感じに。筆でアリを触ると、冬眠してても動き出すので、いじるのは一匹づつ順番にしないと大変なことに。大人になってから虫苦手になったのにがんばったよ。やっとで移し替えた。11匹。
 ありは、1箇所に寄り集まっておしりや触覚や他のアリをお手入れしたりじっとしてたり、1匹か2匹だけが巣穴用に取っ掛かりの穴を開けたところを掘ってる感じにがんばってたり、何時間かに数分くらい、全員がわりとバラけた感じになって何かやってる感じになったりすることも……それを繰り返している感じ。掘ってみたりしたのか、もう寒天の粒がちらほら落ちている。
 これで、1週間くらいしてアリが落ち着くと巣作りを観察できるそうなんだけど、実はアリの巣は、捕まえてきた働きアリが惰性で多少巣を作っても、女王アリがいないと維持をすることはできずに、同じ巣のアリでも女王蟻の出すフェロモン的なものを浴びられなくなるために早晩団結力がなくなりケンカや殺し合いをしたり、そもそも巣の外に仕事に出てくる働きアリは高齢のアリなんだそうで、寿命も数ヶ月と短く、つまりこのアリ観察セットはそんなに長いこと蟻を観察し続けることはできないんだそうです。
 しかし、5〜6月に巣穴探しを始めるために巣の外に出てきた若い女王アリを採取することが出来れば、動物性の餌、糖分系の餌を与えて女王アリが卵を産んで子育てをするところから、アリが増えて大きな巣になるまで何年も観察しつづけられるそう。それもおもしろそうだなぁ。
 http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/BJ/antStory/AAAnt6.html
 上のウェブページに、アリ博士による、アリの育て方が載っています。これを読むと、女王アリを探しに行きたくなる!
 ちなみに、この博士によると、アリ観察に適した砂は、パーライトという白い人口土が良いそうで、セットの寒天がなくなったらそれを買って入れ替えれば、また観察ができるなぁと思いました。