エンターテイナー


 先日あった子供の授業参観、体育館での体育だった。

 体育の見学なんて初めてだから楽しみ〜、と思いながら参加。
 うちの子はスポーツは、成績でいったら普通レベル。特に何が得意っていうものもそうないので、みんなの中でどれくらいやれてるんだろうっていうのも気になっていたし。

 
 今回、マット運動で側転や前転の練習をしていた。
 前転で、ころっと回って立ち上がって、手をぴっと広げて仕上げの決めポーズ! って皆するんだけど、うちのこだけ、なんかちがうの。
 普通、体育……体操…マット運動的な、技の最後にする「手を広げるポーズ」は、手のひらを下にして、ぴっ!ってするじゃない?
 みんな、腕の広げ具合や角度はまちまちながらも、やっぱり手のひらは下を向けてるんだけど。

 うちのこ、どうやら、手のひらを上に向けてポーズしてるんだよね。腕の角度は、ほぼ水平に近い斜め上だったかな。何回やっても手のひらが上なんだよね。


 たぶん、体操競技において、手のひらが下っていうのは、そのまま続けて別の技をしていく場合とか、そもそも(例えば平均台とか?)そんなに安全じゃない場所でポーズしたりしててバランスが崩れたときなどにもスムーズに対処できるっていうのとかもあると思うんだよね。(私の勝手な想像だけど)

 私は中学の時体操部だったから、ポーズのとき手のひらは皆下向きで、下向けるのが当たり前って思いこんでるから、子供には家帰ったらどうして上向きなのか聞いてみよう(下向けたほうがいいかも、って言ってみよう)って思った。



 そして帰宅、
 子供、側転が全然できないみたいだったから、おうちでも練習して少しできるようになって、学校で楽しく体育できるようにって思い、家帰って、狭い家の中にがんばってスペース作って敷布団敷いて、マット練習の場所を作った。

 側転するときに、腕がつぶれてしまいがちなのと、お尻が沈んでしまいがちなのを改善しようと、まずは、立った姿勢から勢いを付けて壁に逆立ちをするっていう練習をした。土日の二日間で、壁逆立ちできるようになった!

 んで、逆立ちができるようになったから、逆立ちできた時は足先までぴんとのばして、逆立ちから降りるときも、きれいに降りて、最後に決めポーズ! ってさせたら、嬉しそうに、また独特の、あの手のひらを上に向ける決めポーズ、でた!


 私、悟った。
 (あ……これ、サーカスのやつや…)
 うちのこは生まれついてのエンターテイナーなんだ、だから(どうでしょう!ごらんください!)っていう気持ちで、ポーズはこうなんだ。しょうがないんだ、なぜならこの子は心がエンターテイナーだから……。

 だからもうポーズはそれでいいことにした。
 みんなで体育をやっていて、みんな体操競技気分なのに、この子はナチュラルにサーカス団員気分でいるだなんて面白すぎる。