さなの驚く顔

 小さい頃って、理解する頭脳が追いついてないし、状況を受け容れて吸収する性質でもあるせいか、そんなにものに驚く顔を見たこともない気がする。

 もう年長になって、大きくなってきて意識や好奇心、主体性が旺盛になってきたからか、今になって、さなが何かを発見して驚いたり歓声をあげたりする姿を見ることが増えた気がする。

 ピアノを習わせはじめて一ヶ月経ち、使う音が左右各3音くらいと増えてきた。左右の指をどちらも使っても1音ずつ単音で進む曲ばかりだったのが、あるとき左右同時に音を出す曲になったときとか、片手で2音同時に鳴らす曲とか、ドレミだけを使う単音の曲の指さばきを、3本並んだ黒鍵の上で同じようにしてみると別の音なのに同じフレーズが鳴りだしたというときなど、はあ〜!とか、キレイー!って驚いてた。私もさなに練習させるためにこの一ヶ月、ゼロからはじまったレッスンを一緒に受けているようなものだったから、頭の中が同じレベルになっていたみたいで、だからなんか、1音で進むのが音楽だと思っていたら、ある日急に、2音が同時に鳴ることがありうる、それがまためっちゃ綺麗! なにこれ! っていうさなのその感動がわかって、歓声が上がるのも納得だった。


 そして今日のクライマックスは「お風呂で自分だけで身体と髪の毛を洗えたら風呂上がりに私と2人でアイスのジャイアントコーンを半分ずつ食べていい」ってことになり、晴れてお風呂から上がり、じゃぁ包丁で半分こに切るね‼︎ って私が言いながらジャイアントコーンの包装を剥いてまな板に載せて包丁でスッパリ綺麗に縦半分に切ったとき! こっちがびっくりする程びっくりしたかおになっていた。空いた口が横長の長方形になったまま超固まってた。

 さなの中では、上半分と下半分に切ると思っていたみたい。コーンのアイスを下から吸って食べるのが大好きだから自分が下半分を貰うことにしてワクワクしてただろうから、相当びっくりしたみたい。
ごめん、半分にするっていったら等分にするっていう意識で、手が勝手に動いて縦に切ってた。自分でも、滅多に見ることのないジャイアントコーンの縦半分の断面を見たら結構驚いた。ごめん。