一日先生

 去年と同じように3学期を指定しておいた、幼稚園の一日お母さん先生をする日があったので行ってきた。
 さなの幼稚園には、他の幼稚園だと保育参観日となるような日が、むしろ先生になって丸一日幼稚園生活を体験する日になっている。親子で一緒に何かをする、のでもなくて、幼稚園に溶け込んで皆と遊ぶ先生たちの一人にならないといけないから、行く日も、皆一斉ではなく、2学期、3学期の何日間かに分かれて数名づつばらばらに行くことになる。ちなみに、全く同じようにお父さんが丸一日先生になれる日も、年に何回か、休日の日に行われて、翌日は振替休園日になったりする。
 当日も、親だけ一度別室に集まって、皆さん今日はおはようございます、では今から……とか始まるんではなくて、子供の登園にまぎれて玄関から入って、子供のクラスの前で靴を履き替えたら、もうあとは流されるまま子どもと一緒に遊ぶという感じ、うちの幼稚園は集団で何かするのはお昼と帰り周辺にやるので、朝は登園して着替えた子から昼までフリーダムだから、朝イチから幼稚園の敷地の中が自由に遊ぶ子どもたちだらけで、だから子供と玄関入ったあたりから、クラスにつくまでのルート上で顔見知りの子が増えていくまでの間に、もう遊びに誘われてたりとかしてくるので、もう先生体験感がすごい。
 私自身、決まったマニュアルがあったりお膳立てをされた上で動きたいと思うタイプなので去年は戸惑ったけど、今年は慣れていたし皆顔見知りになっているしで、去年よりも自然に遊べて楽しめた。
 年中になり、去年よりも子供たちが関わりあいながら遊ぶようになってきているなと、成長を感じた。数日前から流行っているらしいゲームセンター作りっていうので、大きな箱からカプセルが出てくる系のゲームを、何箇所かで思い思いに作っていたり、お正月の遊びっていうことで畳を2畳敷かれた一角に置かれたカルタやコマ回しを誘われてやったり、英語の日だったので30分位英語の先生と遊んだり、そこそこ遠いところにある畑まで歩いて行ってほうれん草やかぶを収穫して、また戻ってきて、給食を準備して誘ってもらった班で座って食べて。
午後は外に出て行く子がほとんどだった。さなを探してみたら砂場のあるサンハウスみたいな場所にいたからこっそり見ていたら、土ふるいを持って砂地に座り込み、片付けの時間になるまで熱心に砂を振るって大粒の砂を集めて、片付けが始まって私と顔を合わせたら「今日も土のなかの種をたくさん集めた」って言っていた。クラスに戻ってきて着替えをして、お母さん先生たちで紙芝居を読んであげて終了という感じでした。
 幼稚園の中でどんな風に遊んでいるかっていうのもそうだけど、丸一日、こんな場所で座り込んだり、こんな格好のまま床をはいずったり、どんな風にして服を汚してくるのかっていうのがわかって、あ〜、運動着入れ、週一しか洗ってないけどこれ見たら毎日洗うしかないわ、とか、目には見えなくても、降園するときにはもう、体中砂まみれなんだな、少しでもきれい好きなママだったら帰宅して風呂に直行させてもいいくらいなんだなあ、この子、というのがわかったり、目に見えないものが少し見えるようになった気持ちになった日だった。