この季節、この日の空

 さなを幼稚園に送って戻って来て静かな午前の家、今年は相当暑いなあ、いつもこんな残暑だったっけ? 空の色だけは覚えていると思っているけど、去年まではあまり外に出なかったし今年は幼稚園の送迎をしているから、この5年間この季節、外が今年と同じくらい暑かったかなんて記憶に残っていないみたいだ、と、空を見ようとベランダを開けて空を覗いたものの、暑さの記憶が無さすぎるのに諦めて部屋に戻り、部屋の奥の椅子に戻って空が少し見えるベランダの窓の外をまだ見ていたら、ベランダの外のメダカの鉢の水に太陽の光が反射した明るい水の波が部屋の天井にキラキラと四角く映っている。
 空から落ちてきた光がメダカの水に反射して映っているんだから、この光の波を見るのは空を見ているのと同じことになるかなぁと考えながらキラキラを見ていた。取り留めのなさすぎて取り留め無くしか考えることのできなかったものに気持ちを届かせるための祭壇を得たような気持ちで水色の空に、あるいはキラキラの光に向けて手を組んでお祈りしてみた。来年も同じように、睡蓮の花が咲く水鉢がそこにあれば、同じようにキラキラするんじゃないかな? それってすごくいいなと思う。