さなと注射

 二週間前に一回目、そして明日は二回目の日本脳炎の予防注射がある。さなは今まではほとんど気付いていなかったんだけど、3歳半にしてちょっと意識がはっきりしてきたせいか、注射をいやがるようになった。明日病院に行くんだよ〜、って話を振ってみると「でも〜、ちゅうしゃだったらいやだから……さなはいきたくないよぉ」と答える。
 今回の日本脳炎は2週間間隔で2回打たなきゃないので、一回目で注射が嫌になっちゃったら二回目はもう病院に行くのすら嫌がるに違いないからめんどくさすぎて大変なことになると思い、一回目からもう、言い聞かせるとかじゃなく、ただ健康診断にいくだけという設定で受けさせた。
 2週間前の1回目、最後に押さえられて注射をされるときに嫌がって泣きかけたんだけど、それでも終わった後に「え?何もなかったよ?健康診断の最後に腕にばんそうこ貼ってくれてたから、それをかんちがいしちゃったんじゃない?」とものすごいごり押しでごまかし通した。
 帰ってきてからも、何か思い出して「痛かった……」とか言いかけるたびに、同じように完全否定しまくったら、最後にはぬいぐるみと遊びながら「びょういんでけんこうしんだんして、うでにばんそうこはるだけだよ」って教えてあげるようになった。とりあえず明日も嫌がらずに病院まで行けそう。そしたら次は一年後だからまた忘れるだろう。