判ったときのこと

 去年から毎日体温を測っていた。女性はひと月の間で体温が変化するサイクルがある。「月の前半が低めの体温で後半が高めの体温。高めの体温が3週間以上続いたら妊娠の可能性がある」のだ。今回二週間を越えて依然高いままだった一週間は、どうなるんだろうと誰にも言えずにじりじりと一日一日を過ごした。とうとう三週間続いたー!という日に満を持して検査薬を使ってみたのだった。昨日のこと。月曜日なのにテルは調子が悪いと半休して帰ってきていた。ネットで沢山注文しておいた検査薬がこの日の夜やっとポストに届いて、部屋に戻るなり検査して、即効で陽性。女性は妊娠を望んでいた人もそうでない人も、陽性がわかったときは「あわわわ」と驚いて慌てるものだと書いてある本を読んだことがあるが、そのときの私は驚いたり慌てたりはしておらず、湧き上がる「ぐッふふふふふ……」というほくそえみで一杯だった。そのあとすぐトイレから出て、リビングでゲームをしていたテルに「おもしろいもの見せたげよっか」「何何?」「ほらー!」と検査薬を見せつけた。これだけでは良くわかっていなかったので、部屋に戻って説明の書いてある検査薬の箱を持ってきて一緒に見せたら気づいたみたいでやっと「ホーこれはおもしろいものですねー」と言ってにやけだしたのだった。そういう感じだった。三年以上待ちわびて、その間何度も一人で検査薬を試して一人でがっかりした。やっと見ることができた陽性を示す線! 記念に猫の背中に乗っけて写メを撮ったけれど、検査薬本体はその晩のうちにゴミ箱に捨てちゃった。
 どんなことでも何でもすべて相手に対する気持ちは、そのつど言葉にして話し合うほうがうまくいく夫婦もいると思うけど、うちはそういうタイプではない。意識させるのは良くないと具体的な話をしないで暮らしてきたので(私自身だけでバリバリ気にしていた)こんな日がとうとう訪れてちゃんと二人で喜べたことが嬉しかった。
 そのあとテルは、私がここのところ体調が悪いと嘯いていたから、もしかしたらと思っていた、あと昨日自分に男の子がいる夢をみたなんて言っていた。小学生くらいの男の子を見ながら、自分の子ながら賢くて美形の子に育ったなあとしみじみしている夢だったそうな。先見すぎ。