星の王子様の新訳と、愛情の可能性について


私は星の王子様を読んだことが無くて、なぜかはわからない。あの有名な挿絵があまり心に入ってこなかったというか、そんな感じでここまできてしまっていたんだけど、今、映画が公開されるので本屋に特設コーナーができていて、そこで見つけたのがこの、新訳の星の王子様。なんか、サイバラさんの挿絵にすごく親しみがもてて、初めて、星の王子様がどんな話なのか手に取って開いてみることが出来た。

開いた部分は、星の王子が地球での経験を経たのちに自分の星に居た一本の薔薇のことを想い返すという場面で、王子のモノローグを追うにつれて王子の心にそのとき起きている心の成長を読者が目の当たりにしてしまう。

それは大人になりきった私にとっては、まるで自分の子供が、あるとき、自分の目の前であきらかにある出来事をへて大切な何かを見出したとみえるその瞬間に偶然立ち会うことができたときのようなはてしなく愛しい気持ちで、他人がその人生で大切なものを得たというときに立ち会いこんなに素敵な気持ちになれるなんて、人間の心はなんて不思議なんだろうって思う。
また、挿絵を描いている西原さんの過去の著作の「いけちゃんとぼく」を読んだときに感じた、他人に対して、その人の生きてきた過去、子供だったときの彼をも愛しみたいと思える気持ちっていったいどんな愛情なんだろうって心をうたれたときのことも思い出してしまった。

最近、所詮は丸め込むことができていたような幼稚園時代までとはもう確実に違う、次の段階に入ってしまった、さなとの毎日の付き合い方に手こずってしまっていて、子供の成長を助けるって何だろう、見守るって、導くって、育てるって、一緒に暮らすって、家族って良いもの?悪いもの?何だろう、って混乱してしまうような日々で、なーんか壁にぶつかったような気持ちでいたんだけど、ちょっと、きょう、星の王子様に感動して、人が心に芽生えさせうる愛情ってものの可能性について客観的に感じて、すこし冷静になれた気がする。
やっぱり私のほうが子供より絶対的に大人なんだから、根気よく忍耐強く接していくべきなんだよね、優しさ、愛情、よし、がんばろう…!

そんな土曜日でした。

あ、この新訳の本は、大きめの文字、やさしい文、取っつきやすい挿し絵で、ほんとうに小学生が読むのにぴったりです! 子供が、深い意味を実感するには至らなくとも、ストーリーを楽しめ、大人になるにつれてすこしづつ思い起こすことができる、読んでおくべき寓話というか…素晴らしい作品だな〜、珠玉のSFだなあ〜と思い、さなが読む用にと、買いました。

本屋で見かけたら、ぜひぜひめくってみてください!